2. 女性の描き方考察
女性がモデルの絵も描くには描くのですが、頻度が圧倒的に少ないので、どう描いたらいいのかな?と考えることが時々あります。頭でっかちになって手が止まってしまわないように、記事にまとめてすっきりしたいと思います(笑)。
---
自分の男性絵と、今流行りの「萌え絵」とを比較してみて、相違点がヒントになるのではないかと思い、気が付いた点を列挙してみます。(比較対象は他のものでもよいのですが、「萌え」系イラストって、デフォルメの仕方がジャンルとしてかなり確立されていると思いまして。)
女性絵(萌え絵)の方が、
・顔の輪郭が丸っこい
・目が大きい
・まつげが多い
・眼と眉の距離が離れている
・垂れ目
・鼻が低い
・口が小さい
といった特徴があるようです。あと、自分の絵は細眉が多いのですが、世の中には眉の太さを男性女性で描き分ける例も多いので、
・眉が細い
も、ポイントとして加えてよいと思います。
---
一方、自分の女性絵ですが、あまり意識しないで描くと、下の右図のようになります。左は比較のための男性絵です。
ちゃんと女性に見えているでしょうか?自分では意外だったのですが、男性絵と比べてみると、上で列挙した特徴を割と踏まえているように思います。
---
これでめでたしめでたし・・・ならよいのですが、ひっかかることが一つ。
デフォルメの具合に疑問がある場合には、まず現実のものをよく見て、あるときは忠実に、あるときは特徴を抽出して、描くようにしています。そういう目で世の中を見ますと、上で挙げたポイントが、必ずしも現実世界の男女差と一致しないように思えてしまいまして。
例えば、目や口の大きさ・鼻の高さは、性別によって変わるものではありません。また、眉やまつげも、お化粧で女性らしさを強調するときに手を加えるところですが、それをしないと女性に見えないというほど決定的なことではありません。下の表にこれらをまとめてみました。
|
「萌え」絵の特徴
|
現実では
|
備考
|
顔の輪郭
|
丸っこい
|
○
|
体格も含め、男性の方がごっつい
|
目の大きさ
|
大きい
|
×
|
黒目の大きさを変えるコンタクトは有る
|
眉
|
細い
|
△
|
極細眉の野球選手もいたしなぁ
|
まつげ
|
長い・多い
|
○?△
|
生物学的にも女性の方が若干多い?
|
目とまゆげの距離
|
離れている
|
×
|
-
|
つり目か垂れ目か
|
垂れ目が多い
|
×
|
萌え系でもつり目も有るので関係なし?
|
鼻の高さ
|
低い
|
×
|
-
|
口の大きさ
|
小さい
|
×
|
-
|
○・・・生物学的な性差あり △・・・化粧で強調される女性らしさ ×・・・性差なし、むしろ個人差
意外と生物学的な相違に基づいていないのではないでしょうか。現実世界で、「この人は男性、この人は女性」と判断している基準が、実は結構曖昧なところなのではないか?という気がして、描き分ける基準がどこにあるのか、非常に興味深いです。
---
こういう視点で、他の絵描きさんの作品を見ると面白いです。目鼻口の大きさで描き分けている方がやはり多いですが、逆にこれらは全く同じで眉の太さだけが違う方も。男性絵でもまつげバシバシの方もいらっしゃいますし、各パーツが現実の比率に近い作風の方は、上記のポイントでの描き分けがほとんど無かったり。
そして究極に私を惑わすのが、好きな漫画家さん、しりあがり寿さんの「ヒゲのOL薮内笹子」・・・!いや本と、女性キャラでヒゲが生えているのですが、すごく美人だと思うのです・・・!このキャラを綺麗な女性と感じる基準は一体何なんだろう???解けない謎かもしれません(笑)。
---
まぁでも、上記に挙げたポイントだけでなく、髪型・表情・仕草・服装・化粧っ気・体格なども含めて、ちょっとの描き分けの積み重ねで、表現するべきものなのかもしれません。絵柄によって、どこで表現を変えるかの取捨選択もあるでしょうし。などと、あれこれ考えながらも、結局は「何となく直感で」描き分けていることが多いです(笑)。
(2006.9.25)
⇒「雑記メニュー」に戻る
|