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使っている画材と、その保存性について。


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■ アクリルガッシュ(ターナー)


耐水性の強い画材です。一度乾いたら、水では溶け出さない強い吸着性を持ちます。
非常に薄く塗った場合でも、吸着性は強いと感じています。
乾くと、濡れた筆で撫でた程度では落ちず、何度でも薄く重ね塗りすることが可能です。


耐光性(紫外線による褪色のしにくさ)は、色によって異なります。
ターナーのアクリルガッシュは、★印の数で耐光性の強さが示されています(ターナーのHP参照)。

アクリルガッシュ 耐光性強度の印
★★★
特に強い
★★
強い
普通
なし
弱い


2014年現在、手元にある「普通」、「弱い」色は、以下の9色です。

・耐光性【普通】・・・オーバージーン、パステルピーチ、パステルピンク、パステルライラック
・耐光性【弱い】・・・バイオレット、オペラレッド、カーミン、マゼンタ、オリーブグリーン

アクリルガッシュ 耐光性強度「普通」
【普通】
アクリルガッシュ 耐光性強度「弱い」
【弱い】

パーマネントオレンジは、現在は★★★(非常に強い)と表示されていますが、
以前は★1つ(普通)の表示でした(2006〜2011年の作品で使用)。


顔料は、一般的には褪色に強いと言われています。
その中で「普通」や「弱い」に分類される色は、実際にはどの程度褪色しやすいのでしょうか。

以前、サンプルを作って、7ヶ月間(8月〜翌年3月)、日光に当たるように窓に貼り付けたことがあります。
「弱い」とされるバイオレットとオペラレッドは、濃さが半分くらいになってしまいました。
「弱い」マゼンタも紫成分が抜けてカーミンに近くなり、「普通」のオーバージーンも少し薄くなりました。

また、「弱い」はずのオリーブグリーンとカーミン
「普通」表示の旧パーマネントオレンジには、顕著な変化はありませんでした。

褪色の度合いは条件によっても変わるため、★印は一つの目安として考えるのがよいと思います。
耐光性が不安な場合には、紫外線を避けて暗所で保管することをお勧めいたします。






■ プロフェッショナル・ウォーターカラー(W&N)


言わずと知れた最高級ランクの透明水彩です。
アクリルガッシュとは異なる表現をしてみたくなり、2019年より少しずつ使い始めました。

耐久性については、額装展示環境下での絵具の耐久性を独自に堅牢性として定義し、
各色についてAA、A、B、Cの4段階で評価しています。
発売されている殆どの色が、AA(非常に優れた堅牢性)またはA(優れた堅牢性)ランクです。

それとは別に、ATMS(アメリカ材料試験協会;American Society for Testing and Materials)による
耐光性の評価も合わせて記載されています。
こちらの指標でも、試験データのある色は全て、5段階評価のうち上位2段階以内で、
「アーティスト専用の堅牢性を備える」と評価されています。





■ ヴァンゴッホ色鉛筆(サクラクレパス)


万年筆の線画に着色したり、アクリルガッシュの上から少し描き足す時に使っています。

耐光性については、サクラクレパスのHPに、
「優れた耐光性を持ち、長期間にわたって色あせることがありません」と書かれています。





■ カーボンインク(プラチナ萬年筆)


ペン入れに使用している、黒色の顔料インクです。
耐水性はかなり強く、水彩や染料インクでの着色と併用できます。
耐光性も、顔料のカーボンブラックのため、非常に強いです。

専用のデスクペン「カーボンペン」で使用しています。

耐水性の比較実験を、blogにまとめました。
セーラー「極黒」とプラチナ「カーボンインク」の耐水性比較





■ 万年筆用インク(染料)


万年筆で描く線画やラフのインクです。
絵筆を使って、カラーイラストの着色にも使用しています。

染料のため、水濡れには弱いです。
耐光性もあまり期待できませんので、暗所保存する必要があります。

インクによっては、暗所保存していても褪色が進む場合もあります。
(ドイツのP社の紫インクは、ノートに書いた文字の色が、半年で少し薄くなったことがあります。)





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■ 水彩紙


主な水彩紙は、保存性に優れている中性紙(pH=約7)です。
酸性紙は、例えば新聞紙がそうですが、経年により黄ばんで劣化してしまいます。

私がよく使っている水彩紙は、全て中性紙です。

 ・シリウス水彩紙(旧)(オリオン)・・・中性紙。無蛍光。205gと247gを使用。
 ・シリウス水彩紙(新)(オリオン)・・・2019年5月にリニューアル。中性紙。無蛍光。220gを使用。
 ・モンバルキャンソン水彩紙(maruman)・・・中性紙。原料はパルプ。300gを使用。
 ・ウォーターフォード水彩紙 Imperial(ホルベイン)・・・コットン100%の中性紙。300gを使用。
 ・ストラスモア水彩紙 Imperial(ホルベイン)・・・コットン100%の中性紙。300gを使用。

原材料がコットン100%、麻100%の場合は、半永久的にもつそうです(muse「紙について」より※リンク切れ)。





■ スケッチブック、クロッキー帳、コピー紙


万年筆の線画作品や、ラフやラクガキに使う薄手の紙も、保存性に優れた中性紙です。

 ・図案印刷スケッチブック(maruman)・・・中性紙。画用紙、並口。
 ・クロッキーブック(maruman)・・・中性紙。
 ・ホワイトクロッキー(muse)・・・中性紙。簾の目入りで、淡いクリーム色。エコパルプを使用。
 ・KB用紙(KOKUYO)・・・中性紙。FSC認証パルプを使用。





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■ 定着剤・コート剤


フィキサチフホルベイン

 鉛筆類や木炭、パステルといった定着の弱い画材の、粉落ちや汚れを防止する定着スプレーです。
 鉛筆、色鉛筆のみで描いた作品に使用。


【廃番】マット フィニッシュホルベイン

 つや消しの画面保護用ワニスです。アクリル系で、耐水性があります。スプレータイプ。
 2017年7月までのアクリルガッシュ作品に使用。


UV マット バーニッシュホルベイン

 マット フィニッシュと殆ど同じで、かつ、紫外線による褪色を抑える効果があるとされています。
 2017年7月以前は、アクリルガッシュ作品のうち耐光性が「普通/弱い」色を用いた場合に使用、
 2017年8月以降は、全てのアクリルガッシュ作品に使用。





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■ 参考サイト


・muse 「紙について」・・・中性紙保存性について。

・muse 「紙の保存」・・・劣化要因保存方法について。「絵画の敵」、「保存方法」に、更に詳細情報あり。

・ホルベイン 「水彩紙・スケッチブック」・・・一番下に、中性紙保存性について。


※残念ながら3リンク先とも、リンク切れ、もしくは掲載内容が削除されておりました(2020.11.18)。




(2013.10.30掲載、2014.3.24更新、2016.10.10更新、2020.11.18更新)

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